美味しい煎茶の淹れ方
日本茶インストラクター
に学ぶ基本の方法

美味しい煎茶の淹れ方
日本茶インストラクター
に学ぶ基本の方法

日本茶は、ポイントさえおさえれば誰でも安定して美味しく淹れることができます。お茶の種類によって淹れ方は異なりますが、まずは煎茶の淹れ方をマスターしましょう。教えてくれるのは、日本茶インストラクターの桑原陽子さんです。

煎茶の特徴
香り・味ともにバランスがとれた万能選手

煎茶は、日本茶の中でもっとも広く親しまれている種類のお茶です。国内でもっとも生産量が多い「やぶきた」の煎茶は、さわやかな香りがあり、まろやかな甘味と旨味、そしてほどよい苦味・渋味をあわせ持った、バランスの取れた味わいが特徴。食事はもちろん甘味とも合わせやすく、シーンを問わず楽しむことができます。

煎茶は一度淹れて終わりではなく、急須に湯を足しながら煎を重ねて味わいの変化を楽しむものとされていますが、すべて同じように淹れればよいというわけではありません。そこで、日本茶インストラクターとしてさまざまな場でお茶の淹れ方講座を行う桑原陽子(くわばら ようこ)さんに、基本的な煎茶の淹れ方や三煎の楽しみ方の違いを教えてもらいます。煎茶の持ち味を引き出すコツを知り、ぜひ気分や好みに合わせて淹れられるようになってください。

 

 

煎茶を淹れるために必要な道具

まずは必要な道具をそろえます。
・急須
・湯冷まし
・湯のみ茶碗
・スケール
・ティースプーン
・茶葉

急須は、素材から形までさまざまなものがあり、急須によってお茶の味が変わるとも言われますが、桑原さん曰く「特に初めのうちは“使い勝手”を重視して選ぶ」のがおすすめ。お手入れのしやすさや淹れる量にあった大きさなど、使いやすいものから始めてみましょう。

湯冷ましは、その名のとおり湯を冷ますための道具です。煎茶を美味しく煎れるためには湯温の管理がポイントとなるため、そろえておくとよいですが、ない場合は、茶碗でも代用できます。また、湯や茶葉をスケールで正確に計量することで、安定して美味しいお茶を淹れることができます。

 

煎茶の味を決める4つのポイント|煎茶を淹れる前に

日本茶の味を決めるポイントは4つあります。

①茶葉の量 :

同量の湯、浸出時間の場合、茶葉の量が多いほど濃いお茶になります。煎茶の場合、一人あたり2〜3gが目安です。

②湯の量 :

同量の茶葉、浸出時間の場合、湯の量が少ないほど濃いお茶になります。煎茶の場合、一人あたり70〜90ccが目安です。

③湯の温度 :

お茶は湯の温度で引き出される味わいが大きく変わります。

低温(〜70℃):甘味や旨味が強く、まろやかな味わいに

高温(80〜100℃) :苦味や渋味が引き立ち、また香りもより強く感じられます。

煎茶の場合、一煎目は70℃、ニ煎目は80℃、三煎目は100℃弱で淹れます。

④浸出時間 :

同量の湯、茶葉の場合、浸出時間が長いほど濃いお茶になります。煎茶の場合、一煎目は1分、ニ煎目は30秒ほど。三煎目はすぐに湯のみ茶碗に注ぎます。

以上を踏まえた上で、煎茶を淹れていきます。今回はもっとも基本的なレシピ(一人あたり茶葉3g、湯量90cc)を教わります。

 

 

基本的な煎茶の淹れ方|一煎目

一煎目は、お茶の甘味や旨味を味わいます。湯温は低めの70℃前後が適温です。

1.湯を適温にする|沸騰させた湯を湯冷ましに注ぐ


沸騰させた湯を、湯冷ましに注ぎます。湯量は一人あたり90ccが目安です。沸きたての湯は温度が高すぎて苦味や渋味が全面に出てしまうため、何度か容器を移し替えることで適温まで下げていきます。別の容器に移すごとに5〜10℃ほど湯温が下がると覚えておくとよいでしょう。

2.湯を適温にする|湯冷ましから湯のみ茶碗に移し替える


さらに、湯冷ましから湯のみ茶碗に移し替えます。複数杯淹れるときは、それぞれの茶碗に分けて注ぎます。湯温を下げるのと同時に、茶碗を温める役割もあります。

3.茶葉を準備する


湯を冷ましている間に、急須に茶葉を入れます。茶葉の量は、一人あたり3g(ティースプーン山盛り1杯)が目安です。

4.浸出させる


湯のみ茶碗から急須に湯を注ぎ入れ、1分間浸出させます。

5.注ぐ


湯のみ茶碗に注ぎます。量と濃さを均等に注ぎ分けるため、「まわし注ぎ」をしましょう。2杯の場合、右→左の順に少しずつ注いだら、今度は逆の左→右、次はまた右→左……という具合です。3回ほどに分けて注ぐとよいでしょう。

また1杯取りの場合も一度にすべて注ぎきるのではなく、3回ほど手首を返して注ぐことで湯と茶葉が適度に混ざり、お茶の旨味を引き出すことができます。

6.最後の一滴まで注ぎきる


お茶は最後の一滴に旨味が凝縮しています。しっかりと急須を立てて注ぎきります。

7.茶葉をならして二煎目の準備をする


急須のお尻をポンポンと叩いて注ぎ口側に偏った茶葉を平たくならしたら、余分な蒸気が外に出るよう、蓋を少しずらしておきます。こうすることで中の茶葉が蒸れすぎるのを防ぎ、ニ煎目、三煎目を美味しく淹れることができます。

 

基本的の煎茶の淹れ方|二煎目

ニ煎目は、甘味に加え、煎茶特有のほどよい苦味や渋味を楽しみます。湯温は一煎目より高く、80℃が目安です。茶葉がすでに開いているので、浸出時間は短くします。

1.湯を適温にする|沸騰させた湯を湯冷ましに注ぐ

一煎目と同様に、沸騰させた湯を湯冷ましに注ぎます。量も同量の一人あたり90ccです。もし一煎目を味わってみて少し濃いと感じたら、湯量を増やすなどして調整します。

2.浸出させる

湯冷ましから急須に湯を注ぎ入れ、30秒間浸出させます。

3.注ぐ

湯のみ茶碗に注ぎます。一煎目と同様に、まわし注ぎをしましょう。また、最後の一滴まで注ぎきります。

4.茶葉をならして三煎目の準備をする

再び急須のお尻をポンポンと叩いて茶葉をならし、蓋を少しずらしておきます。

 

基本的の煎茶の淹れ方|三煎目

三煎目は、100℃弱の高い湯温で淹れることで渋味と苦味に加え、香りを立たせてスッキリと味わいます。

1.湯を急須に注ぐ

沸騰させた湯を直接急須に注ぎ入れます。

2.注ぐ

浸出させることなく、すぐに湯のみ茶碗にまわし注ぎをします。最後の一滴まで注ぎきりましょう。

 

 

基本の淹れ方をベースに、

楽しみながら自分好みの味を見つけましょう

以上が、基本の煎茶の淹れ方です。一言で煎茶と言っても茶葉によって味の出方に特徴があるため、まずは基本の淹れ方で淹れてみて、その後に自分好みになるようアレンジしてみるとよいでしょう。「あまり構えすぎず、お気に入りの茶器や茶葉を見つけることで楽しみながら淹れてみてください」と、桑原さん。お茶の味を決める4つのポイントをおさえて、ぜひ自分に合ったレシピを見つけてください。

 

 

教えてくれた人
日本茶インストラクター 桑原陽子さん

桑原陽子(くばわら ようこ)。日本茶小売店を営む家に生まれ、幼い頃から日本茶に親しむ。2018年に日本茶インストラクターの資格を取得。小学校での食育事業や、さまざまな日本茶PRイベントで日本茶の淹れ方の講師として活躍する傍ら、日本茶スタンド「八屋」(東京・代官山)に勤務。現在は日本茶インストラクター協会の役員を務める。

写真・吉田浩樹
文・山本 愛理