茶のプロの推し:抹茶フォンダンショコラ(茶菓えん寿)
「茶菓えん寿」は、京都・太秦に店舗を構える茶と菓子の店。札幌の料亭で板前の修行を、さらに京都では和菓子職人の修業を積んだ異色の経歴を持つ店主が、長年の夢である日本茶を楽しめる喫“茶”店として開きました。シングルオリジンの煎茶を軸に、和洋の境界を超えたオリジナルの菓子を提供しており、生菓子は注文を受けてからその場で作ることも。
「抹茶フォンダンショコラ」は茶と和菓子のプロである店主・泉さんが、テイクアウトや通販のために開発した商品。お店のオープン当初は抹茶を使ったスイーツを提供するつもりはなかったものの、お客様から「抹茶のスイーツも欲しい」とリクエストを受けるようになり、開発がスタートしました。
大事にしたのは「抹茶を食べる」感覚を味わってもらうこと。そのため抹茶の使用量はかなり多く、薄茶ではなく濃茶(※)の濃さに近いイメージです。さらに食べる直前に“追い抹茶”として振りかける抹茶が付属されており、「食べる抹茶」へのこだわりが伺えます。
※濃茶は一般的に、薄茶の2倍の量の抹茶を使用します
フォンダンショコラ自体と振りかける抹茶には、異なる種類の抹茶を使用しているのも推しポイント。試作を繰り返した結果、フォンダンショコラには味がしっかりとした抹茶、振りかける方には香りを重視した抹茶の組み合わせに辿り着きました。
こだわりの抹茶に合わせるもうひとつの主要材料であるホワイトチョコレートは、国際基準を満たした製菓用のチョコレートを採用しています。
2通りの食べ方を楽しめるのもこの商品の魅力。冷蔵のまま食べると、ねっとり感が強い締まった食感。温めるととろとろの食感になり、半分に割ったときに中身が流れ出てくる視覚的なおもしろさも加わります。また、抹茶を点てた瞬間のような香りが再現されるので、より抹茶を濃く感じたい人は温めて食べるのがおすすめです。食べ方については説明書が付いているのでご安心を。
今回の逸品を推薦してくれたのは
利田さんの推しポイント
「茶菓えん寿」の泉さんとはかれこれ6年のお付き合いです。こだわりのリーフ茶はもちろん、ご自身の技能をフルに活用した和菓子、お茶スイーツを展開なさっています。
この「抹茶フォンダンショコラ」のお抹茶は弊社がご提案・ご用意させていただいており、ほろ苦さと口に含んだ時に広がる香りの良さを追求したお抹茶です。碾茶(※)は一番茶で、主に宇治田原産の物を使用しております。
※碾茶とは:抹茶の原料となる茶葉。一般的な茶葉との違いは、被覆栽培され、揉み工程が無い点。
もともと宇治田原は寒暖差と土壌の強さによって香り高く個性がしっかりと際立った碾茶が多いのですが、その中でも特に香気の良い物を茶市場で厳選しています。22年に落札した当抹茶用碾茶で一番香りが良かった物の生産履歴を確認すると、香りが好みでいつも煎茶で購入している畑と同じエリアの物だったので、やはりお茶は場所(気候条件と土壌)が命なのだと再確認しました。
「茶菓えん寿」さんのフォンダンショコラはそんな抹茶のほろ苦さ、風味が広がる満足感のある味わいでお気に入りです!
今回の逸品を開発したのは
お店で提供しているお茶は全て茶園を訪れ農家さんと直接お会いし、どんな土地で育ったお茶なのかを勉強した上で仕入れています。また、直接出向くことで農家さんに自分のことも知ってもらいたいという気持ちもあります。
今回の商品も、そうして出会った農家さんにフォンダンショコラに適した抹茶をいくつかご提案いただき、何パターンも比較検討しました。
抹茶の種類を決めたあとは、配合を試行錯誤。抹茶を堪能してもらいたい気持ちはありつつ、自分がカフェインに強くないので、お客様にとっても負担にならないよう抹茶の量とバランスで調整していきました。さらに、第三者に試食してもらった意見も取り入れながら、「抹茶を食べる」というコンセプトを実現させました。
「茶菓えん寿」は、“喫茶店”と言いながら飲み物はコーヒーばかりで“茶”を楽しめる場が無いと思ったのがきっかけで作ったお店です。開業当初からの、シングルオリジンのリーフ茶を飲める場を守りながら、一方で「抹茶フォンダンショコラ」の開発のようにお客様の声を取り入れて変化・進化していく柔軟さを持つブランドでありたいと思っています。
次回は、「茶菓えん寿」の泉さんが推す逸品をご紹介します。料亭でも和菓子屋でも修行を積んだ、茶と菓子、両方に精通する食のプロがおすすめするお取り寄せとは? お楽しみに。