Japan Matcha Latte Art
Competition 2021 ・
フォトレポート

Japan Matcha Latte Art
Competition 2021 ・
フォトレポート

2021年10月28日、原宿のdotcom space Tokyoにて、Japan Matcha Latte Art Competition 2021が開催されました! 日本で唯一の抹茶ラテアート大会である本大会は、今年で第4回目。「抹茶ラテアートを通して、バリスタとしての技術の向上と、日本茶の美味しさや価値、作り手のストーリーを伝えること」を目的としています。

昨年の2020年大会はオンライン開催となりましたが、今回は観客を迎えての開催が実現! マスクの着用・消毒および検温の実施や、歓声ではなく拍手による応援など、会場全体で感染対策をしっかり行いながらも熱気に包まれる大会となりました。

なんと今回、予選の応募者数は過去最多の53名! 予選の写真審査を通過した8名のバリスタが会場に集結し、観客の前で競技を行いました。

本大会の競技者は、次の8名です。(敬称略)

1, 星 健太(Tailored Cafe)
2, 坂口 純 (swell coffee roasters)
3, 赤谷 彰太 (おうちバリスタ)
4, 清原 健 (TAKERUCOFFEE)
5, 葛西 勇
6, 松本 勇気 (Mojasta Laboratoy)
7, 竹口 清音 (Coffee Base BnA)
8, 田邉 優 (WISEMAN COFFEE)

試合はトーナメント形式で行われ、予選を勝ち抜いた4名が準決勝、さらにその勝者が決勝に進出し、優勝者が決まります。

 

抹茶ラテアート大会のルール

本大会で使用するのは、前回大会に引き続き、京都宇治産「製茶 辻喜」の抹茶。2017年度の全国茶品評会「てん茶」部門で、内閣総理大臣賞を受賞しています。(抹茶は日本茶業中央会が定める抹茶の定義に基づいたもの)

ラテアートを作る際、抹茶の加工技術(点て方、練り方)は自由ですが、抹茶ラテ1杯に使用する抹茶の使用量は5.0g まで。また、使用する抹茶を加工する際、最初に使用できるのはお湯のみとなり、量は50ccまでに限られます。

エスプレッソで作るラテアートと異なるのは、バリスタ自らが抹茶を点てるということ。コーヒーには油分が含まれますが、抹茶にはないため、粘度や質感も異なります。そのため、抹茶の練り方や加水の分量、ミルクとの比重などを調節する必要があり、淹れ手としての技量に加え、抹茶への深い知識・理解が求められます。

 

予選ステージ スタート

今回の司会を務めるのは、本大会の主催者で「茶リスタ」として活躍されるSatén japaneses tea代表の小山 和裕さん。そして、解説者はラテアート世界大会で優勝経験を持つ田中大介さん。

1年越しの有観客大会ということもあり、期待感が高まるなか、いよいよ予選ステージのスタートです!

 

第1ラウンド

星 健太バリスタ。

坂口 純バリスタ。

競技者は5分間の間に、抹茶を点てるところから始め、ミルクをスチーム。抹茶ラテアートを描きあげ、指定のトレイに提出します。

今回の審査を務めるのは、「2016年 Coffee Fest Latte Art World Championshop Open」など、ラテアートの世界大会で2度の優勝を誇る下山修正バリスタ、茶師十段・「しもきた茶苑」オーナーの大山泰成氏、抹茶ラテアート大会第二回大会チャンピオンの谷尾洋平バリスタの3名です。

予選ステージでは、審査員の指差しによる多数決でジャッジが決まります。

 

第2ラウンド

赤谷 彰太バリスタ。

清原 健バリスタ。

 

第3ラウンド

葛西 勇バリスタ。

松本 勇気バリスタ。

 

第4ラウンド

竹口 清人バリスタ。

田邉 優バリスタ。

レベルの高い戦いに、ジャッジも難航……。選手のラテアートは「外観の美しさ / バランス / 調和・対称性」「明確さ」「色の表現力」「創造性と難易度」を評価基準として審査されます。

 

会場では、大会で使用している抹茶で作った「振る舞い抹茶ラテ」を提供

会場では、来場者の皆さんに、競技で実際に使用している「製茶 辻喜」の抹茶で作った振る舞い抹茶ラテの提供も。1杯ずつ、丁寧に点てた抹茶ラテの味わいを楽しんでいただきました。ドリンク提供担当は、ラテアートを学んでいる赤堀製菓衛生専門学校とベルエポックの生徒の皆さんです。

スポンサーブースでは、ゴールドスポンサーのFBCインターナショナル様がヘッドジャッジを務める下山さんとコラボしたミルクピッチャーや、日本茶に適した温度設定ができる電子ケトルなど、抹茶ラテアートには欠かせないアイテムを展示。

同じくゴールドスポンサーの株式会社吉村様は、抹茶のミニシェイカーと抹茶粉末スティックで楽しめる「おうち抹茶」セットや、日本茶をコーヒーのようにドリップして楽しむ「刻音」のティードリッパーなど、お茶・抹茶を楽しむグッズを紹介していました。

 

決勝がスタート!

決勝ステージに進んだのは、星健太バリスタと松本勇気バリスタの2名。会場の盛り上がりと緊張感が高まる中、決勝ステージのスタートです。

抹茶を点てるところからミルクを注ぐフリーポアまで、選手の真剣な所作に会場も釘付けです。

決勝にて提出されたラテアートがこちら。
(左:松本勇気バリスタ、右:星健太バリスタ)

決勝ステージのジャッジは、会場のお客様による投票によって行われます。

お客様は、どちらか片方のラテアートに投票ボールを1つ投票します。

第4回優勝者は……

そして、緊張の結果発表タイムです!

第4回目の開催となるJapan Matcha Latte Art Competition 2021の優勝は、松本勇気バリスタに決定しました!

準優勝は星 健太バリスタです。優勝者の松本バリスタにはトロフィー、準優勝の星バリスタには賞状が贈呈されました。

入賞したお二人をはじめ、ご参加いただいたバリスタの皆様、素晴らしい競技、そして美しいラテアートををありがとうございました!

 

優勝者インタビュー

大会終了後、優勝した松本バリスタにお話を伺いました。

――― 優勝おめでとうございます! まず、いまどんなお気持ちでしょう?

実は2回目の出場なのですが、今回は優勝できてとても嬉しいです! そして、このような状況下でも、お客様を迎えて大会を開催できたことに感謝しています。

―――優勝されたラテアートの絵柄について教えてください

今回決勝で作ったのは、3本の羽があるスワンのラテアート。これは第二回大会優勝者の谷尾さんが決勝で作った「2本の羽のスワン」にインスパイアを受けています。

―――なぜそのラテアートのデザインを選ばれたのでしょうか?

「谷尾さんの作られたラテアートのスワンを、さらに飛躍させたい」、そして「今年を、自分にとって飛躍の年にしたい」という想いで、3本羽のスワンのデザインを選びました。

また今回は有観客の大会でしたので、会場のお客様に楽しんでいただけるよう、これまでにないオリジナルのデザインを作りました。僕のニックネームが「もじゃ」なので、「もじゃスワン」ですね。

―――今回の大会に向けて、作戦などはありましたか?

決勝大会に向けて、とくに意識したのはミルクの扱いです。大会で使用するマシンは使い慣れていないので、「普段通りにスチームミルクを作れないかもしれない」という懸念がありました。

そのため、スチームミルクのコンディションにラテアートの出来が左右されないよう、自分でスチームしたミルクだけではなく、初心者から上級者までの、さまざまな方に作ってもらったスチームミルクで、狙ったラテアートを描けるように対策しました。

―――エスプレッソと抹茶、どんなところが違いましたか? 難しかった点は?

エスプレッソと抹茶では、含まれる水分量が異なるため、ラテアートの描きやすさが違ってきます。また、粉に対して水分量が多くなりやすい抹茶の方がラテアートを作るのは難しいですが、その分、バリスタの技量やアイデアを発揮することができる分野でもあります。だから、僕は抹茶で作るラテアートは好きですし、面白いですね。

―――どんなふうに練習しましたか?

使用する抹茶の量やお湯の量、比率などを1グラム単位で変化させながら、抹茶の質感がどう変わるのか、ラテアートの作成にどう影響するかを検証しながら練習を繰り返し行いました。数値は裏切らないですし、クオリティの高いラテアートを確実に再現できるように意識しましたね。

―――これから挑戦したいと思っている人にむけて、一言お願いします!

これから抹茶ラテアートに挑戦される方には、常識にとらわれず、広い視野を持ってラテアートを楽しんで欲しいです。また、抹茶の特徴や性質といった細かいところなどへの探究心をもって、抹茶やラテアートの「本質を見極める」ことを意識されるといいかな、と思います。

―――最後に、今後の目標を教えてください

普段はコーヒーをメインに活動していますが、今後は、ラテアートを通してもっと抹茶の魅力を広めていきたいです。さらには抹茶だけにとどまらず、日本の魅力も世界に伝えていけたらと思います!

 

 

今回もレベルの高い戦いが繰り広げられたJapan Matcha Latte Art Competition。来年も開催予定ですので、出場をご希望の方は、ぜひ以下のSNSのフォローして、最新情報をキャッチいただければと思います! 競技者の方はもちろん、「抹茶が好き」「日本茶の文化に興味がある」という方も、ぜひ来年の大会にお越しください。 来年も本大会を通して、抹茶文化を日本そして世界へ発信していきます。

 

<第4回大会協賛企業>
FBC International、株式会社 吉村、株式会社 K-ai、製茶 辻喜、
株式会社 星野製茶園、株式会社 ブランディングコーヒー、HARIO
※次回大会のご協賛企業を募っております。以下へお問い合わせください。

<後援>
後援:日本茶インストラクター協会、日本茶業中央会

<主催>
Japan Matcha Latte Art Competition運営事務局
(株式会社抽出舎、茶しごと、CafeSnap)

Instagram: https://www.instagram.com/matchalatteart_japan
Facebook: https://www.facebook.com/MLACJAPAN
Twitter: https://twitter.com/matcha_latteart

Photo by 松島 星太 Writing by 中嶋千智