茶通仙 多田製茶「香ル 半熟カヌレ」
『茶通仙 多田製茶』(大阪府枚方市)の創業は明治初期。全国から集めた荒茶を自社で仕入れ・加工・販売まで行う老舗の製茶問屋であり、本店には専属パティシエがつくる洋菓子を楽しめるカフェを併設しています。
自社の商品開発に加え、宿泊施設やアーティストなど様々なパートナーとのコラボレーションを担当するのが、取締役の多田雅典さん。新卒で入ったマーケティング会社で新規事業開発の仕事をしたのち、静岡の農研機構で日本茶を学び家業を継いだ異色の経歴の持ち主です。
現在は辻調理師専門学校の講師も務め、日本茶とスイーツのペアリングに造詣が深い多田さんが、日本茶に合うスイーツとして開発したのが「香ル 半熟カヌレ」。
日本茶に関心が薄い人たちとも接点を持ちたいとの思いから、日本茶以外の切り口を探す中で話題性の高いカヌレに注目。まずは、全国のあらゆるカヌレを食べ比べるところからスタートしました。
目指したのは、カヌレ単体で美味しいだけでなく、日本茶とペアリングしたときに最もバランスの良い味わいになること。リキュールの風味でごまかさずにしっかりと素材の風味を生かしながら、提携先のカヌレ専門店「boB」の半熟カヌレと同じ食感を再現する焼き加減を探すのに苦労したといいます。
調査と試作で「一生分のカヌレを食べた」と語る多田さんとパティシエの熱意が実り、2022年2月の発売以来、早くも多田製茶を代表する人気商品に。
「香ル 半熟カヌレ」の魅力は、外はかたく中は柔らかい食感。生地を通常よりも長く熟成させることでモッチリ感を高めています。
また、日本茶とのペアリングを前提に、一般的なカヌレに比べ優しい味わいに仕上げたのも特徴です。リキュールや甘みに過度に頼らず、ミルクや発酵バターでコクを出すことにこだわったことで、一つで満腹にならず、一つ、また一つと食べたくなるカヌレに仕上がっています。
ちなみに、自然解凍したカヌレを半分に切り、トースターで4−5分、煙が出るくらいまでしっかりと焼いて室温で冷ますと中がプルンプルンになり、また違った食感が楽しめます。通な食べ方を試したいときにおすすめです。
ほうじ茶と合わせてカヌレの香ばしさを強調させるのも王道ですが、多田さんイチオシは煎茶とのペアリング。例えば多田製茶の煎茶「milky green -original blended-」なら、ミルキーな香りと甘みがカヌレのバター感と一体化し、口の中に甘みが一気に広がる感覚を楽しめます。
飲み終えたあとに口の中をさっぱりさせてくれるので、他の飲み物とは違った煎茶ペアリングならではの新しい体験になると教えてくれました。
今回取り寄せたのは「香ルバター 半熟カヌレ」に加え、香ル抹茶、 香ルほうじ茶、香ル和紅茶の4種がはいったセット。それぞれのフレーバーにどの飲み物を合わせるか、自分なりの組み合わせで食べ進めるのは楽しい体験でした。コーヒーや紅茶ではなく、日本茶のために開発されたカヌレ。その意外な出会いを、お試しあれ!