静岡茶が生む、
非日常の旅体験
「星野リゾート 界 遠州」

静岡茶が生む、
非日常の旅体験
「星野リゾート 界 遠州」

“日本一、煎茶にこだわる温泉旅館”を謳い、数々のおもてなしで旅の滞在を演出する「星野リゾート 界 遠州」。静岡茶の魅力を全身で体感できる“お茶がテーマの温泉旅館”をご紹介します。

静岡茶で非日常の旅体験を

静岡県浜松市・舘山寺温泉にある旅館「星野リゾート 界 遠州」は、星野リゾートが手がける温泉旅館ブランド「界」のひとつ。2021年5月現在、日本全国の温泉地に17の「界」の施設があり、それぞれが、各地の地域文化を色濃く表したコンセプトを持っています。それらを空間やサービス、催しなどで徹底して演出することで、その地でしか味わうことができない旅体験を総合的にプロデュース。“伝統を活かしながらも現代に合う、くつろぎの滞在”でお客様をもてなします。

お茶処・静岡県にある「界 遠州」のコンセプトは、“美茶楽湯治”です。美茶楽湯治とは、「お茶の美味しさ、美しさに改めて気づき、日本ならではの温泉の良さを体感することで、その後の暮らしが豊かになっていく」という意味。「界 遠州」では、日本茶インストラクターをはじめとした日本茶の資格を持つスタッフが在中し、茶業界の専門家と協力しながら、さまざまなプログラムで旅の滞在を演出しています。通常の宿泊プランでも存分に静岡茶に触れられますが、四季折々のスペシャルプランも数多くラインナップ。なかでも今回は、お茶に特化した特別な客室で過ごす一泊二日の滞在を時系列で紹介します。

 

「星野リゾート 界 遠州」 1泊2日滞在モデルプラン

【1日目】
15:00 |チェックイン
15:30 |「ご当地楽〜美茶楽〜」(季節に合わせたお茶の催し)
「ティーセラー」でお茶選び(12種類の静岡茶のバイキング)
16:00 |温泉入浴
「入浴お茶三煎」(入浴の前・中・後に合わせた3種のお茶)
「お茶玉美肌入浴」(温泉に浸けたお茶の香り玉)
17:00 |「遠州つむぎの間 茶処リビング付き和室」(お茶に特化した特別な客室)で休憩
17:30 | 夕食
20:30 |「おちゃけ」(お茶×お酒の催し)

【2日目】
6:00 |「つむぎ茶畑」(館内にある茶畑)の散策
7:30 |茶箱朝食
8:30 |「朝茶」(朝限定のフレーバーティーのブレンド体験)
10:00 |「浜名湖茶摘み体操」
12:00 |チェックアウト

 

【1日目】15:00|お茶香るエントランスから始まる、お茶づくしの旅体験

玄関の扉を開けた瞬間から、お茶を焙じる香ばしい香りで包まれる「界 遠州」。フロントまでのアプローチには茶香炉が置かれ、一歩進むごとに、これから始まるお茶づくしの滞在に期待が膨らみます。

「界 遠州」の全客室からは浜名湖を一望することができるうえに、館内の至るところには地元の伝統工芸である遠州綿紬(えんしゅう めんつむぎ)の設えが。お茶と共に、浜松の自然と伝統を全身で感じられる、非日常のくつろぎが待っています。

 

15:30 |日本茶の楽しさを知って学べる「ご当地楽〜美茶楽〜」体験

「界」ブランドの代名詞であり、各地の地域文化を肌で体験することができる催しが「ご当地楽」です。「界 遠州」では「美茶楽(びちゃらく)」と題して、春・新茶・夏・秋・冬の5季に合わせて、静岡茶の飲み比べや利き茶などを行っています。

2021年春の「美茶楽」は、花香る利き茶体験。その昔、お花見は、花の姿を見るものではなく香りを楽しんだことにちなみ、華やかな香りを特徴に持つお茶を通して、「界 遠州」流のお花見を体験する催しです。煎茶の基本的な淹れ方を学びながら、まずはお客様自身で温かい煎茶を淹れ、その後、3種類の水出し煎茶の中から同じ品種を当てるという、いわば“お茶当てゲーム”。

催しの途中には、煎茶を淹れるときの3つのポイント、「茶葉の量」「湯の温度」「待ち時間」についての丁寧なレクチャーもあります。

ひとことで“香りのお茶”といっても多くの品種があり、淹れ方によってもその味わいはさまざまです。お茶請け菓子の「桜の和サブレ」と共に3種の水出し茶を味わったら、最後に利き茶の答え合わせ。時には幼いお子さまだけが正解することもあるそうです。

すべての「界」の施設では各コンセプトに合わせた「ご当地楽」を実施。利き茶体験を通じて美味しいお茶の淹れ方が学べる「美茶楽」は、旅の思い出を自宅で再現できることも大きな魅力です。

 

お気に召すままに静岡茶を。「ティーセラー」で楽しむお茶バイキング

ご当地楽会場のすぐ隣には、12種類の静岡茶をバイキング形式で楽しめる「ティーセラー」があり、備え付けの茶筒に茶葉を入れて客室に持ち帰って、さまざまなお茶を楽しむことができます。「ティーセラー」は滞在中の好きな時間に利用が可能。新茶のシーズン(2021年は5月15日〜)のみ加わる限定の八十八夜のお茶は、この時期にしか味わえない縁起物として人気の高いお茶のひとつです。

 

16:00 |身体の内からも外からも、静岡茶に浸れる温泉

「日本一、煎茶にこだわる温泉旅館」を謳う「界 遠州」では、自慢の温泉も静岡茶と合わせた楽しみ方を提案しています。塩化物強温泉である舘山寺温泉は、湯の塩分濃度が非常に高く、肌の保湿や保温の効果が期待できるそう。じっくりと温泉を楽しむためにも、水分補給は非常に重要です。そこで、入浴前・入浴中、入浴後、それぞれに合わせた3種のお茶「入浴お茶三煎」を大浴場に備えています。お茶に精通したスタッフの手でひとつひとつ丁寧に淹れられているため、美味しさに妥協はありません。

入浴前(かけ湯茶):天竜川の上流で採れた茶葉を使った浅蒸し茶。甘みの余韻を感じる冷茶は、入浴前の身体にすっと馴染むよう仕上げています。

入浴中(湯治茶) :茶の木の茎の部分だけを使った水出し棒茶。しっかり冷やし、スッキリとした味わいは、火照った身体への水分補給にぴったりです。

入浴後(仕上げ茶):最後はほんのり温かいほうじ茶で、身体を冷やさないよう、じっくり落ち着かせます。

さらに、2つある大浴場のうち「華の湯」では、静岡県の中でも茶の一大産地である牧之原台地で採れた金谷茶をぎっしり詰めこんだ「お茶玉」を露天風呂に浮かべています。ビタミンCなどのお茶の成分がお湯に溶け出すだけでなく、芳醇な香りでも優雅な入浴時間を演出。身体の内からも外からも、お茶で存分に癒されることができる温泉です。

 

17:00 |1日1組限定 静岡茶を楽しむための特別な客室

「界 遠州」の目玉のひとつともいえるのが、全33室あるうち1室だけあるお茶に特化した特別な客室「遠州つむぎの間 茶処リビング付き和室」です。茶処リビングと茶処カウンターを設えた、まさにお茶を心ゆくまで楽しむための客室。室内には計りや湯沸かし用の南部鉄器のほか、3つのシーンにあわせた茶葉、茶器、お茶請け菓子が用意されています。

到着〜夕食前には、旅の疲れを癒す“香り”をテーマにした2品種のお茶を、干菓子と共に。

夕食後〜就寝前には、リラックス効果のあるテアニンをたっぷり含んだ“旨み”のお茶を3品種。静岡野菜のピクルスと合わせました。

起床〜朝食前には、鮮やかな緑が映える“色”のお茶が、清々しい朝の目覚めをお手伝い。「界 遠州」オリジナルの最中とのペアリングで味わいます。

これらを含め、「界 遠州」に滞在すると、なんと常時20種の静岡茶を楽しむことができるのだそう。日本茶に精通した方にも人気の客室です。

 

17:30 | 地元食材の夕食で贅を尽くす

夕食には、旬の食材を使った季節の会席や、浜名湖名物のうなぎを使った特別会席などが楽しめます。

 

20:30 |お茶×お酒「おちゃけ」で、新たなお茶の楽しみ方を発見

写真提供:星野リゾート

夕食、入浴のあとは、お茶を使ったオリジナルカクテル「おちゃけ」のお楽しみです。ご当地楽と同じく5季で内容が変わり、2021年春の「おちゃけ」は、お茶を漬け込んだジンと桜を合わせた、桜のカクテル。「日本茶のカクテルははじめて」という声や、おかわりを希望するお客様も非常に多いのだとか。新茶のシーズンには、新茶を使ったカクテルが登場します。

 

【2日目】6:00 |敷地内には茶畑も。「つむぎ茶畑」で目覚めの朝散歩

翌朝には、朝風呂と共に敷地内にある茶畑「つむぎ茶畑」の散策がおすすめです。茶の木と2種のツツジが交互に植えられており、秋になると色づいて縞模様に見えることから、遠州綿紬の縞柄にちなんで「つむぎ茶畑」と名付けられました。茶の木の生育にはまだ3、4年ほどかかるといいますが、後々にはこの「つむぎ茶畑」での催しも計画されています。

 

7:30 |お茶の香りに包まれながら味わう「茶箱朝食」

写真提供:星野リゾート

朝食は、川根市の茶箱職人が作る茶箱にお料理と茶葉を敷き詰めた「茶箱朝食」。茶箱からほのかに香るお茶の香りに包まれながら、優雅な朝の食事を楽しむことができます。

 

8:30 |組み合わせは自由自在。「朝茶」で見つけるオリジナルフレーバーティー

朝限定で、「ティーセラー」にはカモミールやラベンダーなどの季節に合わせた3種のフレーバーが登場。お好みの茶葉とフレーバーを選んでブレンドし、お部屋で楽しむことができます。

 

10:00 |現代流の湯治を体験 「浜名湖茶摘み体操」

茶摘みの動作などを取り入れた「界 遠州」オリジナルの体操で、身体をほぐしましょう。全国の「界」では、“うるはし現代湯治”と題して現代流の温泉療養を提案しており、これらの体操もそのひとつです。

 

12:00 |お茶の香りに見送られて帰路へ

チェックアウトはゆっくりめの12:00。それまで、まだ味わっていないティーセラーのお茶を楽しむもよし、お土産を品定めするもよし。ふたたび茶香炉の香ばしい香りに包まれながら旅館を後にするまで、余すことなく静岡茶を堪能できます。

基本的な煎茶の淹れ方のレクチャーから新しい飲み方の提案まで、幅広いおもてなしを通じて静岡茶の魅力を伝え、非日常の旅体験を演出する「星野リゾート 界 遠州」。普段日本茶を飲まない方も日本茶通の方も、かならず満足と発見、そして刺激がある滞在になるはずです。

星野リゾート 界 遠州

住所:静岡県浜松市西区舘山寺町399-1
TEL:0570-073-011
https://kai-ryokan.jp/enshu/

写真・吉田浩樹 文・山本愛理