抹茶の点て方
日本茶インストラクター
に学ぶ基本の方法

抹茶の点て方
日本茶インストラクター
に学ぶ基本の方法

抹茶を点てるのに、特別な技術は必要ありません。茶筅さえあれば、誰でも家庭で気軽に楽しむことができます。基本の点て方をマスターしてぜひチャレンジしてみてください。今回は、日本茶インストラクターの桑原陽子さんに抹茶(薄茶)の点て方を教えてもらいました。

抹茶の基本

そもそも抹茶とは? 薄茶と濃茶とは?

抹茶は茶葉ではなく粉末状になっているのが大きな特徴です。これは、碾茶(てんちゃ)という種類のお茶の茶葉を臼などで挽いているため。つまり抹茶は碾茶を粉にしたもののことを言います。

そもそも碾茶は、煎茶やほうじ茶などと並ぶ日本茶の一種で、より旨みが強く柔らかな新芽に生育させるために茶畑を布などで覆い日差しを遮って栽培されたもの。それを蒸して乾燥させ、臼や機械で挽いて抹茶に加工します。

では実際に抹茶を楽しむ際、「薄茶(うすちゃ)」と「濃茶(こいちゃ)」の2種類があるのをご存知でしょうか。薄茶とは、少量の抹茶と湯で“点てる”シャバシャバとしたお茶のこと。甘味処や日本茶カフェ、カジュアルなお茶会などで提供されているものの多くは薄茶で、「おうす」「お薄茶」などとも呼ばれます。

一方で濃茶は、薄茶の約倍量の抹茶と半量の湯で“練る”、トロリとしている濃厚な抹茶。「おこい」「お濃茶」などと呼ばれ、高品質な抹茶をたっぷり使った贅沢品として正式な茶会や茶道などで嗜まれます。

今回桑原さんに教えてもらうのは、家庭でも手軽に楽しめる薄茶の点て方です。「おうすは、実際のお茶会の場でも会話などを楽しみながら飲むお抹茶です。ぜひご家庭で気軽にチャレンジしてみてください」。

 

抹茶を点てるために必要な道具

必要な道具は以下の8つです。

・片口碗(抹茶を点てるための碗)
・茶筅
・茶こし
・湯冷まし
・茶碗
・スケール
・ティースプーン
・抹茶

もちろんそれぞれ専用の道具があるとベストですが、基本的には茶筅さえあれば、他は家庭にあるもので代用できると桑原さんは言います。「湯冷ましはマグカップなどを使っていただいてもよいですし、茶こしも料理や製菓などに使う一般的なものでOKです。抹茶を点てる碗は、茶筅が動かせる大きささえあればどんな器でもかまいません」。大きめの飯碗やスープボウルのようなものでもよいとのこと。

また近年は、茶筅もオーソドックスな竹材のもの以外に、手入れが簡単で丈夫な樹脂製のものも販売されています。衛生面が気になる方はそういったものを活用するとより手軽に始められるでしょう。本格的に楽しみたい方は、穂数が多く穂先がより細い茶筅を選ぶと、きめ細やかでクリーミーな泡立ちの抹茶を点てることがきます。

 

茶筅通し|抹茶を点てる前のワインポイント

竹材の茶筅を使用する場合は、使用する前に茶筅を熱湯に浸して穂先を柔らかくしておきましょう。乾燥した茶筅でいきなり抹茶を点てると、穂先が折れたり持ち手にヒビが入ったりしやすくなるためです。これを「茶筅通し」と言います。湯のみ茶碗などに茶筅が浸かるくらいまで熱湯を注ぎ、新品であれば2〜3分、新品でなければ10秒ほど浸します。途中で、穂先を碗の底に軽く押しつけるようにしてほぐします。
※新品の竹材の茶筅を使用する場合は必ず行ってください。

 

抹茶(薄茶)の点て方

それでは薄茶を点てていきます。

1.湯を適温にする、茶碗を温める

煎茶と同様に、抹茶も湯温でその味が変わります。沸きたての湯は温度が高すぎて苦味や渋味が強く出てしまうため、一度湯冷ましに注ぎ、湯温を80℃前後まで下げます。湯量は一杯60ccが目安です。安定して美味しい抹茶をつくるためにも、分量はスケールを使って量りましょう。また同時に湯のみ茶碗にも湯を注ぎ、茶碗を温めておきます。

2.抹茶をこす

湯を冷ましている間に抹茶を茶こしでこします。抹茶は一杯につき2g(ティースプーン1杯分)が目安です。丁寧にこすことでダマになるのを防ぎ、滑らかな抹茶に仕上げることができます。

3.抹茶を点てる

湯冷ましから湯を注ぎ入れ、茶筅を使って点てていきます。ポイントは3つです。

①茶筅は垂直に立て、穂先を常に碗の底に軽く当てた状態で前後に動かします。茶筅を回したり小刻みに振ったりするのではなく、碗いっぱいを使ってしっかりと縦方向に動かしましょう。
②全体が均一に馴染むよう、前後の動きと合わせて茶筅の位置を左右に動かします。Mの字やジグザグを描くイメージです。
③スピードは必要ありません。力みすぎず、手首を使って軽く振ります。

4.泡をならす

湯と抹茶が馴染んで表面が泡立ったら茶筅を少し持ち上げ、穂先で泡の上を撫でるようにふたたび前後に軽く動かします。こうすることで、大きな気泡が消えてきめ細やかな泡になり、やわらかい口当たりとまろやかな味わいになります。泡が整ったら湯のみ茶碗に注ぎ入れます。

 

基本の淹れ方をベースに、楽しみながら自分好みの味を見つけましょう

以上が、基本の薄茶の点て方です。「抹茶を点てる」と聞くと、茶道や厳かなお茶会のような特別なシーンを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、抽出時間を待つ必要がなく茶殻も出ないため、実は家庭でとても手軽に楽しむことができます。
「チャレンジしてみたい!」と思ったら、まずは街の茶店に行くのがおすすめだという桑原さん。「抹茶は値段や品質に幅があるため、お茶屋さんに相談して、家庭で薄茶を飲むのに適したものを選んでもらうとよいでしょう」。抹茶を点てる一連のプロセスも、心を整えてくれるいい時間になります。まずは茶筅と抹茶をそろえて、一服点ててみてはいかがでしょうか。

 

 

教えてくれた人

日本茶インストラクター 桑原陽子さん

桑原陽子(くばわら ようこ)。日本茶小売店を営む家に生まれ、幼い頃から日本茶に親しむ。2018年に日本茶インストラクターの資格を取得。小学校での食育事業や、さまざまな日本茶PRイベントで日本茶の淹れ方の講師として活躍する傍ら、日本茶スタンド「八屋」(東京・代官山)に勤務。現在は日本茶インストラクター協会の役員を務める。

写真・吉田浩樹

文・山本愛理